2008年04月10日

名作「いまを生きる」N・H・クラインバウム 白石朗訳 新潮文庫

厳格な校風の名門校に、型破りな教師キーティングがやってきた。


「伝統、名誉、規律、美徳」をモットーにする抑圧的で、

閉鎖的だった学園にキーティングは疑問を呈し、独自の授業を行う。


「もっともらしい学者の名前と架空の説を書けば、大学のテスト

 なんてまかり通ってしまうものだ」と言い切るキーティングは、

文法などの授業は行わず、いっそ情緒あふれる詩でも論じた方が

価値があると熱く語る。

生徒たちは、戸惑いながらも少しずつ彼に惹かれていく。


彼を慕うクラスの有志によって、キーティングが学生時代につくった

秘密組織「死せる詩人たちの会」を結成させたのだが、悲しい事件が

起こった。


テーマは「自由と管理教育の対立」と「青春学園ドラマ」。240ページ

作中には、有名な英米の詩が多数引用されている。


「ありがとう、みんな……ほんとうに……ありがとう」


作品のイメージは、「Thank you」SOPHIAっぽい。←歌詞
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=66350

注……これより下、ネタバレありです。









この作品のよい所は、やはり学園を追放されることになった

キーティングの呼びかけに対して生徒たちが立ち上がる

ラストシーンであろう。


「自由とは何か」を語りかけるキーティングの呼びかけに、

生徒たちは立ち上がり、学校に対して「反対」の意を唱える。

しかし、生徒たち全員が立ち上がるわけではない。

スタンディング・オーベーションのように全員が「ブラボー!」と

叫ぶのではない。


キーティングに賛同する者に対して、「退学させる」と脅しが

かけられている点も含めて、このシーンは感慨深く、同時に

リアリティーがある。反逆、反骨精神を「勇気」と取るか

「無謀」と取るかは、人それぞれであって確かな答えはない。


「ありがとう」っていう言葉のよさを改めて、

考えさせられるおすすめの名作である。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の 世界の名作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする