孤立している男子にな川(蜷川)の物語。
理科の実験中、暇を持て余していた私はプリントを切ることで
空白を埋めようとしていた。にな川は、熱心にファッション雑誌を
読みふけっていた。ひきながらも、「負けたな」と感じた私は、
表紙を飾っている女性がどこかで見たことがあることに気付く。
「この人に会ったことがある」
と言った私に対して、にな川は
「ウチに来てくれ」
と、恐ろしい情熱で懇願してきた。
モデルの女性(オリチャン)に対して、暗い情熱を傾けるにな川に
嫌悪感と同時に心魅かれてしまう私。その背中を蹴りたい。
しいたげたい。なんなんだ、この感情は?
乱読家の私だが、もう三回読んでしまった。何がすごいって
表現力とか描写力とかがすごい。そして、135ページと短編で
ありながら、濃縮された内容。最年少で芥川賞になったから
すごいんじゃなくて、この小説は作家が生涯に一冊残せるか
どうかっていうレベルの作品だと思う。また読みたくなる一冊。
最高におすすめの作品。
〜本文より抜粋〜
私の表情は私の知らないうちに、私の知らない気持ちを映し出して
いるのかもしれない。
近づいていったあの時に、おれ、あの人を今までで一番遠くに感じた
最高におすすめの同著「夢を与える」↓
http://book0001.seesaa.net/article/76190887.html