「親切」
死んでしまった主人公の耳もとに囁かれる親切で、優しい声。
天国、地獄、そして現世へと。主人公の意識は……。
「王さま」
粉ひきの息子が主人公。父の
「毎日同じことのくりかえしだ。新しい仕事を探した方がいい」
という遺言を胸に新天地へ。
不思議な出会いがあり、彼は王さまになるのだが……。
「秘密」
脱サラした男が主人公。パッとしないが安定したバーを
経営していた男の店に、「貧乏神」と名乗る男がやってきた。
秘密が引き起こす効果と、秘密って持つとしゃべりたくなる
よなぁという物語。妙味がある。
「永遠の青春」
ついに「不老長寿」の薬が完成した。不老長寿が引き起こす
別の問題の解決も果たした衝撃の内容。流石。
「影絵」
生きているのか死んでいるのか……それが問題だ。
人間の「認識」に言及したこの物語は、そこはかとない
ホラーの要素をはらんだ傑作だ。
星新一さんがショートショートの1001編を達成した記念の作品。
その完成度は高く、人生の喜怒哀楽を巧みなアイディアで描いた
31作品を収めた三ツ星おすすめの短編集。さし絵つき。
普段読書をしないという方にもおすすめできる敷居が低い本。

こういう表紙です。画像だけです。