2007年12月29日

短編小説「ピアニシモ」辻仁成

中学生の持つ孤独と、苛立ちを描いた傑作小説。

転校生を繰り返す孤独な僕は、僕にしか見えない
「ヒカル」という少年を作り出す。底なしに明るいヒカルは、
僕の支えであり、殺伐とした転向先での唯一のオアシスだ。

冷たい視線や、悪意にみちあふれた教室、家庭は崩壊寸前。
僕は居場所を求めて、ヒカルといっしょに街を歩く。

ぼろぼろになりながら、「ヒーロー」という名の偶像に
追いすがる少年が、自立と成長をめざす切ない物語。

その姿は、とても痛々しくて心を打つ。そして、心の荒廃が
彼の転機をうむ。

読んでいて、「楽しい」と感じる作品ではありませんが、
芥川賞的な文章のうまさ、透明感を感じる作品です。

伝言ダイヤルで知り合ったサキは、今ならネットでの出会い
になるのでしょう。初めて読んだのが中学生の時だから、
思えば時代が大きく動いたのだと改めて感じます。

第13回すばる文学賞受賞作。

同著として、「海峡の光」もおすすめです。
ラベル:小説 読書 中学生
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

児童書「こちらズッコケ探偵事務所」那須正幹 絵前川かずお


ズッコケ3人組が推理(すいり)を働かせる、シリーズ8作目。

ハカセのおみまいに出かけたモーちゃん・ハチベエ。

手違いで、ハカセへのおみまいの品がすりかわった。

その中身は、かわいらしいブタのぬいぐるみだった。

その後、モーちゃんの家にどろぼうが入る。

ハカセは持ち前の推理力で、ブタのぬいぐるみに秘密がある
はずだとにらむのだが……。

ぬいぐるみを調べたハカセだったが、どうやら事件性がないと、
ほっとしていたモーちゃん。

しかし、モーちゃんに魔の手がせまる……。

モーちゃんのおしっこや、ハカセのひみつが物語のカギを
にぎるユニークな推理物です。

女装にいそしむハカセ・モーちゃんにも注目です。

伏線(ふくせん)が、ちゃんとはられているのはさすが。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 22:28| Comment(0) | TrackBack(1) | ズッコケ三人組 読書初心者におすすめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする