2007年12月01日

芥川賞「海峡の光」辻仁成


芥川賞。145ページ、短編。

陸に上がった後も海のことがいつまでも忘れられない。

青函連絡船の客室係を辞め、函館にある刑務所の看守に
なった私の前に、あいつは現われた。受刑者として。

少年時代、教師やクラスメイトの絶対的な信頼を勝ち取り、
「優等生」として君臨しながら、その裏で残酷なまでに
私を苦しめ続けたあいつが。

私は、ある日「優等生」として振舞うあいつの仮面の下を
覗いてしまったのだ……。悪魔のようなあいつの姿を……。

順調で、何不自由ない生活を送っていたはずのあいつは、
傷害罪を犯し、私と18年ぶりに再開した。

私は監視役に、あいつは監視される側になった。

あいつは、模範的な態度で刑務所生活、船舶訓練を
行うが、私の中では「疑問」と「疑惑」が消えることは
ないし、常に不安がつきまとう。逆に、監視されている
気がするのは気のせいだろうか?

あいつの、一挙手一投足に目が離せなくなる私。
同時に、あいつの仮面の下を再び覗いてみたいという
不思議な欲求が主人公を包むのだった。


小説の持つおもしろさを、ふんだんに詰め込んだ傑作。
あいつの「人心掌握力」の高さには、脱帽させられます。

主人公の「複雑な心情」を巧みに表現しています。
人物描写、海などの風景の描写もすてきです。あえて、
あいつの心情、背景を描いていないのも流石だと思います。
ラベル:芥川賞
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 11:57| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

短編集「ボッコちゃん」星新一

新一は、ショートショート(短編)を1000作品以上生み出した、
天才作家。ちょっと短い本をさくっと読みたいという方に、
文句なくお薦めできる良質の作品があなたを待っています。


マスターの趣味で作られた、美しいロボットボッコちゃんは、
酒場で人気者になるのだが……、イチオシの名作。(ボッコちゃん)

会社を経営するN氏の前に立ちはだかる女。「殺し屋ですのよ」と
名乗り、ライバル会社の社長の殺人依頼を持ちかける
(殺し屋ですのよ)など、スリル溢れる50篇収録。

著者の作品は、ドラマ「世にも奇妙な物語」の原作になった作品も
多いです。長編も書いていますが、星さんの作品だと、やはり
ショートショートものがおすすめです。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 09:07| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの星新一・筒井康隆等SF小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする