2007年11月25日

直木賞「花まんま」朱川湊人(しゅかわみなと)




約255ページ。全6編の短編集。舞台は、一昔前の大阪。

主人公は小学生だが、内容は完全に大人向けの内容。本格派。


「トカビの夜」 ホラー

幼くしてチェンホは死んだ。朝鮮人だったチェンホを、仲間外れに

してしまったことが悔やまれる。チェンホは、「トカビ」(幽霊)に

なって現われる。切なさの中に、温かさを感じる物語。


「妖精生物」甘美、恋愛

「妖精生物」は、ビンの中でクラゲのようにたゆたっている。

うさんくさいおっちゃんから買ったこの代物は、「幸せ」を

運んでくれると言う。そっと指先に乗せてみると、何とも

言えないような不思議な感覚が自分の中で駆け巡る。

「誰かが幸せになると、他の誰かが不幸せになる」という

悲しすぎる物語。読後感はちょっと悪いが、納得できる内容。


「まか不思議」コメディー

調子のよいおっちゃん(叔父)が、死んでしまった。霊柩車で

見送る際に、なぜか霊柩車が動かなくなってしまう。きっと

おっちゃんは、愛人であるカオルさんに見送ってもらいたいんや。


「花まんま」ヒューマンドラマ

フミ子は、俺の妹だ。だが、変に大人びているし、度を越した

わがままなので、俺はうんざりしている。ある日、フミ子は

自分が「生まれかわり」だと言い始めた。妹に懇願されて、

俺はかつてのフミ子の親達の所に連れて行く。だって俺は、

フミ子の兄なのだから……。感動的な名作。


「送りん婆」ホラー

送りん婆は、「言霊」(ことだま)を使って、人を死に至らす。

私は、送りん婆と一緒に人の生き死にに関わる。怖いです。


「凍蝶」ヒューマンドラマ イチオシ

いわれのない「差別」によって、孤独を強いられる主人公。

ひとりぼっちでは、一日は長すぎる。墓地に訪れた主人公は、

美しいミワという女性と出会い友達になった。水曜日が、

待ち遠しい。彼女に会えるのは、決まって水曜日だった。

鮮烈な思い出と、悲しすぎる運命。号泣。ほろ苦い。


凍蝶……………リュウキュウアサギマダラ

いてちょう  一本の木に、何百何千という蝶が群がる様は、 
       まるで花が咲いているようだと言われる。
       そうすることで、冬を越すことができる。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめの短編・短編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする