2007年11月30日

イチオシ「リセット」北村薫


生まれ変わりをテーマに書かれる、感動的なラブストーリー。
移ろい行く時の中で、求め合いながら、交錯することのできない
魂と魂が出会う時、感動があなたをさそうはずです。

この本は、直木賞受賞作を凌駕していると言っても何ら問題
ないほどの完璧な名作です。420ページ。

ちなみに、直木賞46作品読んでますが、同格は3冊です。
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おすすめ「間宮兄弟」江国香織



まっすぐで、純粋で、弟思いの兄思い、そしてモテない、
そんな30過ぎても、一緒に住んでいる癖のある兄弟が主人公。

読書好きで、映画好きで、パズル好き、そしてベイスターズ
ファン……というインドア派の兄弟が思い切って、女性を部屋に
招待する。警戒されながらも、おずおずとやってきた女性たちは、
不思議と居心地のよい空間と、思いやりあふれる兄弟たちに
好感を抱くのだが、恋愛の対象とはならないようで……。

いわゆる外見的には、全くかっこうよくない二人が、支え合って、
それでも前向きにまっすぐ生きていく姿に涙腺が緩みます。

話しのテンポの良さも、間宮兄弟をはじめとした登場人物たちに
魅力があり、文章のよさも秀逸。恋のはじまりと、終わりを描いた
恋愛小説ですが、ラストも含めて納得の内容のイチオシ作品です。
直木賞受賞作「号泣する準備はできていた」よりもおもしろいです。
感動あり、号泣ありの名作長編。
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直木賞「号泣する準備はできていた」江国香織



主人公は強いふりができる位の「強い女」。別れた隆志への
愛情・憎悪を胸に、自分が死んだ時の墓碑銘を考えてみる。
甘美で、切ない表題作「号泣する準備はできていた」

15年という長く濃密な「不倫」関係。男の離婚が決まり、
楽しい旅行で終わるはずだった。しかし、余計な一言に
よって、ほころびが顔を出す。「そこなう」など透明感
溢れる繊細で甘美な12の物語。一つ一つの物語が、
大体20ページ位なので気楽に読める。
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2007年11月29日

短編集「セント・メリーのリボン」稲見一良


ハードボイルド短編集。テーマは、「男の贈り物」。
5編を収録。男たちは、自分の信じる道を行く。

「焚火」 おすすめ

やくざに追われる主人公が出会った、男気溢れる老人。
ささくれ立った主人公の心が、素直になっていく。


「花見川の要塞」ファンタジー

カメラマンは、未だに戦争を続けているという不思議な
おばあさんと青年に出会った。おばあさんたちの言う
思い出の「電車」と「青春」に彼は出会えるのだろうか?


「麦畑のミッション」軍事もの

「終着駅」おすすめ

赤帽(電車の荷物運び)が主人公。夢をかなえる、
思いがけないチャンスが訪れる。逃す手はない。


「セント・メリーのリボン」

探偵が主人公だが、ミステリーではない。猟犬や、盲導犬の
奪還を行う主人公の抱えるジレンマや戦いを描く。
ラベル:短編集 硬派
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SF短編集「最後の喫煙者」筒井康隆

くせのある傑作短編集。名作「急流」、「最後の喫煙者」、
問題作「問題外科」、「老境のターザン」など9つの短編集。

「急流」傑作、爆笑系

時間の進み方が、どんどん加速していくという物語。それで
いて、時計はそれに対応するように進むので人々は大混乱。
「時間」という決まりごとが崩壊すると、いろいろな場面で
支障をきたしだす。

ついには、

アナウンサーが「ニュースはありません」と言ったり、
新聞が年刊になってしまったり、
朝トイレに入って、出たらすでに夜になっていたり……

もうめちゃくちゃである。(他にも、実例が山ほどあり笑える。

しかも、この物語のオチがすごい。
読んだあなたは、「そんなばかな」と言ってしまうでしょう。


「問題外科」グロテスク、官能?

医者の倫理観の欠落が叫ばれて久しいが、この物語はそれを
より強調して書かれている。アブノーマルな世界が展開。


「最後の喫煙者」爆笑、ブラックユーモア

ヘビースモーカー作家のわしが主人公。タバコ=悪という概念が
究極的に進み、どんどん喫煙者の肩身が狭くなっていく。

そんなの関係ないと、わしはあの手この手でタバコを集め、
大好きなたばこを吸い続けた。タバコ屋や、喫煙者が過激な襲撃を
受け、遂には死人まで出てしまう。それでも、ワシはたばこを
吸い続けてやる。オチも鮮やかな名作。


「老境のターザン」ブラックユーモア

正義の味方ターザンも老人になり、「冒険」にやってきた
観光客のガイドを勤めるようになっていた。しかし、老境を
迎えた彼が達した領域は、「正義」ではなく「悪」だった。
ターザン(人間)の裏の部分、陰の部分を描いた問題作。

ラベル:短編集 ユーモア
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2007年11月28日

小説「覆面作家の愛の歌」北村薫



覆面作家シリーズ第2弾。

天国的な美貌と、卓越した推理能力と、個性的な
多重人格者である御令嬢探偵の活躍を描く。

「覆面作家のお茶の会」

覆面作家新妻さんの担当編集者となった良介は、
彼女とともに、ケーキ屋さんで遭遇した「事件」の
謎に挑む。パティシエは、何故消えたのか?


「覆面作家と溶ける男」

近くで起こった小学生の誘拐殺人事件。
良介と新妻さんの知り合い、静さんの甥が
あやしい男に、「血液型」を尋ねられた。

男が言うのには、「血液型占いで、A型の人に頼み、
ポストにラブレターを入れてもらえば恋愛が叶う」
とのこと。僕らは、もちろん不審を抱いた。


「覆面作家の愛の歌」

劇の演出家として、天才ともてはやされる南条弘高。
南条の恋人だった天才女優が、殺された。捜査線上に
浮かぶのは、その言動などから自信家南条弘高ただ一人。

この難問トリックに、覆面作家が果敢に挑む。

の3編を収録。新キャラ歌って踊れる編集者
静さんと、僕の双子の兄優介の活躍にも注目。


第3弾「覆面作家の夢の家」(同シリーズ最終巻)

壊れてしまう愛と、より強くなる愛をテーマに
したミステリー。僕と覆面作家の愛の行方は……。
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三ツ星「魔術はささやく」宮部みゆき




主人公の日下守は、叔母のより子の家に居候している

クールな高校生。趣味はランニング。


ある夜、より子の夫が運転するタクシーで若い女性を

轢いてしまう。「ひどい。ひどい。あんまりだ」という

言葉を残して女性は死亡。そして夫は、逮捕されてしまう。


独善的で、正義なき心で、一方的にかけられる嫌がらせ電話。

その中で、気になる一本の電話があった

「特殊能力」を持つ守は、事件の調査を始める。

やがて、隠されていた謎と真実が見えてくる。


ストーリー自体はほろにがいが、守の理解者も配置されており、

やさしい気持ちになれる名作。

宮部さんは最も尊敬する作家であり、その中でもイチオシの作品。

まだ読んでいないという方は、ぜひ。
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2007年11月27日

三ツ星「となり町戦争」三崎亜記 




主人公の住む町と、となり町との間で「戦争」が勃発。

目には見えない所で、着々と戦争は行われている。

役所の業務のように、淡々と行われる水面下の戦い。


作戦上の都合から始まった、僕と香西さんの淡々とした「生活」。


僕と香西さんの「戦争」に関しての意識の度合い、

温度差。決して埋められない、大きな隔たり。


徐々に僕の目にも、戦争の傷跡や現実が見えてくる。

確かな形として……。


戦争によって引き起こされる理不尽さ、悲しさ、喪失感を

淡々と描いた透明感のある傑作。190ページ。(ハードカバーで)

芥川賞・直木賞の両方の要素を持った名作小説。

小説すばる新人賞受賞作、直木賞候補作となった三ツ星小説!
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ミステリー「覆面作家は二人いる」北村薫

世田谷の大豪邸に住む、可憐なお嬢様新妻千秋。

「自分の力でお金を稼いでみたい!」と、雑誌社に小説を応募。

作品には、旧時代的なちぐはぐな部分もあったが、

光る才能を感じた僕(良介)は、会って話をしてみることに。

才色兼備で、世間知らず、超内向的なお嬢様。

まさに「深窓の令嬢」という言葉がぴったりの小柄な新妻嬢に

どきまぎする僕。その美しさは、天国的。

しかし、一歩大豪邸を出た新妻さんは豹変。

暴力的で、ストレートな物言い、数々の武勇伝を持つ凶暴な虎に

なるのであった。そう、新妻さんは極端な「外弁慶」だった。


聡明な彼女は、高校の女子寮で起こった殺人事件、

小学生の誘拐事件、万引き(窃盗)事件などを次々と解決。

翻弄されっぱなしの僕と、魅力的な新妻嬢の活躍を

ミステリー初心者におすすめの物語。約220ページ

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2007年11月26日

小説「ブエナ・ビスタ 王国記U」花村萬月




芥川賞「ゲルマニウムの夜」の続編。

修道院を「卒業」することにした、赤羽修道士。
雪の降る町を朧(ろう)と一緒に歩き、アパートにたどり着く。

和やかな雰囲気で、昔話をしていた二人だったが、朧の告白で一転。
朧のかねてからの計画通り、シスターテレジアが妊娠した。さらに、脅迫するように言葉を紡ぐ朧。テレジアを引き取ってはくれないか?

ゆがんだ倫理観、暴力と性衝動を持つ朧との対話から、修道士赤羽は何を思い、どんな答えを見出すのか。

聖職者と崇められる一方で、「禁欲」の誓いを破り、滑稽なほど欲望に支配される赤羽親子の、人間脆さが興味深い。(ブエナ・ビスタ)


農場の責任者であった赤羽修道士が去ったことによって、
朧、宇川の農場での仕事は峻烈を極める。

一段と寒さが、身体に応えるようになったある朝に、
鶏舎に訪れた朧が見た凄惨な光景。

その光景を連想させるような、牧草刈りの描写は秀逸。

朧を恋い慕う愛人ジャンと、恋人教子との微妙な関係。

消えない傷を作りながら、朧と宇川に生まれた不思議な友情。

そして、「処女懐胎」。

皮肉屋、不器用、暴君、臆病、残酷な朧のめざす王とは?
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芥川賞「ゲルマニウムの夜 王国記T」花村萬月




自分が育った修道院に舞い戻った危険な青年、朧(ろう)が主人公。

殺伐とした心を持つ彼は、暴力的な衝動を抑えられず、

修道員仲間(彼は、「虫」と捉えているが)を凶悪な方法で

殴りつけ、その危険なにおいと圧倒的な強さによって、

修道院の少年たちの中である種の尊敬を集めます。


又、彼のフェチを刺激する修道女が登場し、導かれるようにして、

肉体関係を持ってしまいます。

シスターは、性交を固く禁じられていますが、彼はあえてそれを

断行し続け。別の女性とも交わります。


彼は、神父に「罪の告白」をすることで、神父に深い後悔の念を

抱かせようと画策するなど、神や教義を冒涜する道を選びます


目指すのは、僕の王国!

キリスト教の持つ矛盾、人間の抱える矛盾にメスを入れた問題作。

119回芥川賞受賞作品。

花村萬月作品に共通していることですが、エグい内容の物語で、

難解な内容です。

同著としては、「笑う山崎」がおすすめです。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 08:09| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの長編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月25日

直木賞「花まんま」朱川湊人(しゅかわみなと)




約255ページ。全6編の短編集。舞台は、一昔前の大阪。

主人公は小学生だが、内容は完全に大人向けの内容。本格派。


「トカビの夜」 ホラー

幼くしてチェンホは死んだ。朝鮮人だったチェンホを、仲間外れに

してしまったことが悔やまれる。チェンホは、「トカビ」(幽霊)に

なって現われる。切なさの中に、温かさを感じる物語。


「妖精生物」甘美、恋愛

「妖精生物」は、ビンの中でクラゲのようにたゆたっている。

うさんくさいおっちゃんから買ったこの代物は、「幸せ」を

運んでくれると言う。そっと指先に乗せてみると、何とも

言えないような不思議な感覚が自分の中で駆け巡る。

「誰かが幸せになると、他の誰かが不幸せになる」という

悲しすぎる物語。読後感はちょっと悪いが、納得できる内容。


「まか不思議」コメディー

調子のよいおっちゃん(叔父)が、死んでしまった。霊柩車で

見送る際に、なぜか霊柩車が動かなくなってしまう。きっと

おっちゃんは、愛人であるカオルさんに見送ってもらいたいんや。


「花まんま」ヒューマンドラマ

フミ子は、俺の妹だ。だが、変に大人びているし、度を越した

わがままなので、俺はうんざりしている。ある日、フミ子は

自分が「生まれかわり」だと言い始めた。妹に懇願されて、

俺はかつてのフミ子の親達の所に連れて行く。だって俺は、

フミ子の兄なのだから……。感動的な名作。


「送りん婆」ホラー

送りん婆は、「言霊」(ことだま)を使って、人を死に至らす。

私は、送りん婆と一緒に人の生き死にに関わる。怖いです。


「凍蝶」ヒューマンドラマ イチオシ

いわれのない「差別」によって、孤独を強いられる主人公。

ひとりぼっちでは、一日は長すぎる。墓地に訪れた主人公は、

美しいミワという女性と出会い友達になった。水曜日が、

待ち遠しい。彼女に会えるのは、決まって水曜日だった。

鮮烈な思い出と、悲しすぎる運命。号泣。ほろ苦い。


凍蝶……………リュウキュウアサギマダラ

いてちょう  一本の木に、何百何千という蝶が群がる様は、 
       まるで花が咲いているようだと言われる。
       そうすることで、冬を越すことができる。
posted by book0001,世界は誰にでも、読書初心者におすすめ at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | すごくおすすめの短編・短編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする